Himadeus's diary

古典電子、多面体の研究

日本のソフト会社の組織とシリコンバレーの会社の組織

「日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法」を読んだ。いくつか共感できる点があった。

日本の組織は上下関係重視で、ソフト開発には向いていない点だ。日本企業で働くと組織の上下関係が明確である。社長>部長>課長>平社員のピラミッド。正社員>派遣の上下関係。年功序列。同じ会社での経験年数。など。これらは、工場生産では役に立つと思われる。工場での仕事は危険が伴う。危険防止の命令を社長が下し、部長、課長経由で社員全員に早く伝える事ができる。同じ工場での経験が長いほど、適格な指示ができるであろう。平社員がミスをした場合も、ミスのレベルによって、課長から注意、部長から注意、社長から注意などのレベル分けができる。

ただ、ソフト会社では状況が異なる。まず、仕事中での危険が、物理的危険がほぼない。ウィルスが入り込むなどの危険があるが、把握しにくい。細かなミスは多発する。ビルドエラーを起こす。バグが入ったコードを入れるなど。ただ、ミスをいちいち注意しているとエンジニアの生産性が、恐ろしく落ちる。コードにミスがあった場合は1日前のコードに戻すなどの解決方法が幾つかあるから、神経質になる必要はない。ここで、社長が「ゼロバグ命令」などを出すと、永遠に完成できなくなる。

ソフト会社では、原因不明のエラーなどが多々ある。年齢が上だからといって解決できない事が多い。同じ会社の長い経験年数は逆に作用する。別会社の経験がある人の方が、解決策を知っている事が多い。平社員でもセンスがあれば解決策を見つけられるし、正社員よりは派遣の方が経験値が上の事が多い。細かいミスは許していかないと、ソフト開発はできない。

グーグルなどのシリコンバレーの会社はフラットな組織にして、マネージャの数を減らしている。このほうが、ソフト開発に有利になるからだ。古い組織の会社は淘汰されてきた。部下のミスを突くような、おじさん社員もいない。天才的エンジニアもフラットな組織な方が、転職しやすし、業績も上げやすい。

日本の上下関係の組織で、一番問題なのは、上の立場の人間が威張る事である。自分の立場を確認するかのように、下の立場の人間のミスを見つけると、大げさに注意したりする。平社員の時代に上の人が威張っていたので、自分が上になれば威張りたくなる理由はわかる。威張る事でストレス発散しているように見える。注意する内容も、ソフト開発の知識がないために、的外れな事が多い。ソフト開発のように、原因不明の事態が多発するような環境では、上下関係を使った威張りは効率を下げる。

私は日米10社以上の会社で仕事経験、日本での正社員と派遣の経験、日本企業、外資系での仕事の経験があるが、上下関係重視の日本の組織は害ばかりが目立つ。